SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年国連サミットで採択されたもので、加盟国が2030年までに達成するために掲げた目標です。主な目標として、貧困や飢餓、健康や教育、さらには安全な水などの諸問題の解決を扱っています。

参考サイト:SDGsとは? https://imacocollabo.or.jp/about-sdgs/

 「SDGs講座」は「総合的な学習の時間」を利用して5講座(5時間)で行います。コロナウイルスの影響により開始を延期していましたが、6月11日(木)に最初の2講座(2時間)を行いました。講師は、2030SDGsファシリテータである本校の長森教諭が務めました。講座の目的は、生徒たちがSDGsについて学び、体験し、調べ、考えることで、自分の将来とSDGsの目標とを関連づけて自分の人生の中に位置づけ、その目標について考えながら日々実行していけるようになることです。

講座①では、講堂を会場に、国連SDGs採択経緯と内容の解説を聞き、「なぜ、私たちの世界にSDGsが必要なのか」「SDGsがあることによって、どんな可能性が生まれるのか」という問いが投げかけられた後、次の講座②で行う「現実世界を模したゲーム」の進め方やルールについて説明がなされました。

講座②では、3密を避けるためもあり、各クラスは2グループ(「2つの世界」)に分かれて、それぞれの教室でSDGsカードゲームを行いました。

参考サイト:SDGsカードゲーム「2030 SDGs」とは?
社会的課題の解決をどこまで体感できるのか
https://imacocollabo.or.jp/about-sdgs/

ゲームの目的は、生徒一人ひとりが世界を変革する第一歩として、現実世界のシミュレーションを通じ、「今、世界で何が起きているのか?」「その時、自分自身がどんな行動をとっているか?」に『気づく』ことです。
生徒たちは、前半(8~9分)では各ペアでの目標(GOAL)達成のみに囚われているようでしたが、後半(15分)では「世界」の中でバランスをとる必要性に気づき、そのためのプロジェクト推進や、他との交渉・働きかけ、協力など、頭をフル回転させながら、楽しく模擬体験を行いました。

 以下は生徒たちの「気づき」です。

・はじめは自分たちのチームの目標を達成することだけが目標で、気づいたら世界の状況が「豊かな社会」とはほど遠くなってしまった。自分たちだけのことを考えるだけでは自分たちが良くなるだけで、世界の状況は必ずしも良くなるとは限らないということに気づいた。この状況をどうにかしようと同じ世界の人たちで話し合い、譲り合ったりして、みんなで”社会”をプラスにしようという思いを持って、プロジェクトを達成し、社会を少しだけどプラスにできた。このことから、周囲の人と協力して、お互いに相手や周囲のことを考え、気を配れるようになると、社会が良くなっていくと気づいた。(1組)
・富を持つことが世界を変えていくのに有利な立場を与えることがわかった。そして、お金を持っている人こそが自分の利益に関係なく、他の人のために協力し合って行動することが大切なのだと思った。(1組)

・バランスを保つことが大切だと感じた。じっくり考えて作戦を練るのも大切だけど、現実と同じように、経済も社会も環境も、自分の行動とは無関係に変化してゆく。だから、今すぐにでも行動したほうがよいと思った。すなわち、SDGsを考えるのも大切だけど、できるだけはやく行動を起こしたほうがよいと思う。(2組)
・自分たちの目標を達成するためには、”カードを何枚集める”ということだけでなく、その上で快適な暮らしができるというところが面白いと思いました。そこから、このゲームが世界の縮図のように感じられ、より経済や環境問題が身近に感じられました。後半で100%になったのは、前半を通じて皆が足りていないことに目を向けたからだと気づけました。(2組)

・最初は何をどうすればいいのか分からず、特に何も考えずに「できること」をやっていたけれど、途中で「経済」のみが発展して「環境」・「社会」が絶望的になって、行う事業(プロジェクト)の優先順位、行う順番、どのチームが何を持っていて何を求めているかを知ることがとても重要になると分かりました。自分には必要でなくても他の人には必要なものを取引することが、より良い世界や目標の達成のために必要でした。(3組)
・自チームは「悠々自適」がゴールで、前半は達成できていなかったものの、後半の早いうちに目標を達成して、その後は「環境」のポイントを上昇させるために動きました。「達成率」については79%でしたが、この数字に中間発表での状況は関係あるのかが気になりました。また、「子供を利用して労働力を得る」というプロジェクトが社会にダメージを与えるかわりに、プレーヤーは大きな利益を得られるので、使用する量には加減が必要なカードだと感じました。(3組)

・何か1つを達成しようとすると、他のことを犠牲にしなければならないことに気づいた。国を動かす者や上に立つ者の大変さがよく分かった。(4組)
・2人で協力してゴールを達成することができた。社会と経済が十分な中、環境が0(ゼロ)で、クラスのみんなで協力して向上させようとしているところを見て、自分たちの世の中でも、環境問題を解決するためには、地球規模で協力しなければならないと感じた。(4組)

 

今後、講座③~⑤は以下のように予定しています。

講座③:前回とは設定を変えて再度ゲームを行う。これにより、生徒一人一人が、ゲームのねらいを読み取り、意思を持って模擬体験に臨み、多くのことを学ぶことを意図している。また、生徒自らの進路とSDGsとの関連について考える契機にしたい。

講座④:学校のPC室を使用し、志望大学の学部とSDGsとの関係を調べ、自分の進路や将来との結びつきを考える機会にしたい。

講座⑤:SDGsについての知識、体験、調べ学習、そして思索したことを、進路や将来、そして世界と関連付けて、各自が考えをまとめる時間とする。